自分で書き始めた薀蓄が長すぎて
本題のBefore/After写真にたどり
着けず、自分でもイラっときている
赤坂クリニック・木下です。
お時間にゆとりがある時にでも
読んでいただければと思います。
前回の続きです。
右目は左目同様にたるんだ皮膚は
存在しているのですが、ふたえ
ラインのおかげでまつ毛や視界
にとって邪魔な存在にはなって
いませんでした。
しかし、おでこの筋肉(前頭筋)
を使ってまゆ毛の位置が両側とも
少し高い位置に引き上げられて
いました。
そこで、もう一つの訴えである
②「目が小さくなってきた。」に
ついて診察してみます。
左目の特に外側で特徴的ですが、
たるんだ皮膚がまつ毛や黒目・白目の
一部を隠すようにかぶさってしまう
ため、他人から見た目の形が三角形に
変化し、せっかく目がしっかり開いて
いる場合でも小さな目に見えてしまう
状態です(加齢変化の一つです)。
右目では左とは状況が異なります。
右目の黒目や白目はたるんだ皮膚では
隠されていないのに、左同様に目が
小さく見えます。
この状態が今回のテーマである
『眼瞼下垂症』の典型的な状態です。
写真の患者さんは、先天性、物理的刺激、
(ハード)コンタクトレンズの長期装用
などの誘因もなく、加齢が原因の
『腱膜性(けんまくせい)眼瞼下垂症』
と考えられます。これに皮膚のたるみも
伴っている場合は、言葉は悪いですが
『老人性眼瞼下垂症』とも呼ばれます。
この患者さんの状態は、大まかには
右目が中等度の下垂、左目は軽度の
下垂の状態です。
患者さん自身は、現状が眼瞼下垂症と
呼ばれる状態だとは自覚していない
ことがほとんどです。
写真はがんばって目を
開いてもらったところです。
まゆ毛もしっかり引き上げられて
いますが、右目の黒目の露出面積は
あまり変わっていません 。
左目は邪魔なたるみのかぶさりを
減らそうとして右よりも眉毛を引き上げ
ているだけでなく、右目の開きの悪さを
補助するために無意識に左目が大きく開く
反応( Hering 現象)が加わって、右目
よりも大きく開いている可能性があります。
眼瞼下垂の程度を評価する際の指標の
一つである眼瞼挙筋機能も正確に
計測したところ、左右対称の12mm
でした。
次回、薀蓄減量バージョンへ続く。