‘眼瞼下垂症’ カテゴリーのアーカイブ

眼瞼下垂手術について 手術直後

2014年12月1日 月曜日

坂クリニック・木下です。

今年もあと1か月となりました。

師走の赤坂クリニックは特に

忙しいので、気合をいれて

乗り切りたいと思います!

 

また本日から毎年恒例の

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

ヒアルロン酸・ボトックス注射

キャンペーンが始まります。

ぜひこの機会にご利用ください!!

 

さて、前置きが長かった

眼瞼下垂症についての続きです。

前回までに紹介した患者さんは、

右が中等度、左が軽度の

老人性眼瞼下垂症の診断で

手術を行いました。

手術内容は両側の

(眼瞼)挙筋前転法です。

保険適用で行いましたので

薬剤費等を除いた手術手技料

は3割負担の場合、

43,200円です。

 

 

この手術のキモである

眼瞼挙筋腱膜の処理は

松尾法や信州大式と呼ばれる

方法で行いました。

二重まぶたラインの幅(高さ)

は7mmで設定し、

たるんだ皮膚は両側とも

上下方向に10mm幅で

切り取りました。

術直後 前頭開瞼

 上は手術終了時の写真です。

目尻側の皮膚のたるみ処理のために

縫い目が外側まで伸びています。

手術直後からまぶたの開けやすさと

視野の改善を実感されていました。

下を向くとこんな感じです。

術直後 下方視

 この患者さんは手術直後の

腫れや内出血は軽かった方です。

もう少し腫れたり色が変わる

ことの方が多いです。

下が手術後5日目(抜糸直後)の

状態です。

PO5 閉瞼

もちろんまだ腫れてはいますが、

手術後のご自宅での患部の冷却などの

アフターケアをしっかりしていただくと

腫れがひどいことにはなりません。

PO5 抜糸直後

腫れのためにまぶたの開き具合は

少し制限されている状態で、

手術したわりにはパッチリ感が

乏しい時期です。

続く。

眼瞼下垂手術について 診察編 ②

2014年11月22日 土曜日

自分で書き始めた薀蓄が長すぎて

本題のBefore/After写真にたどり

着けず、自分でもイラっときている

坂クリニック・木下です。

お時間にゆとりがある時にでも

読んでいただければと思います。

前回の続きです。

 

右目は左目同様にたるんだ皮膚は

存在しているのですが、ふたえ

ラインのおかげでまつ毛や視界

にとって邪魔な存在にはなって

いませんでした。

しかし、おでこの筋肉(前頭筋)

を使ってまゆ毛の位置が両側とも

少し高い位置に引き上げられて

いました。

そこで、もう一つの訴えである

②「目が小さくなってきた。」

ついて診察してみます。

術前 正面

左目の特に外側で特徴的ですが、

たるんだ皮膚がまつ毛や黒目・白目の

一部を隠すようにかぶさってしまう

ため、他人から見た目の形が三角形に

変化し、せっかく目がしっかり開いて

いる場合でも小さな目に見えてしまう

状態です(加齢変化の一つです)。

右目では左とは状況が異なります。

右目の黒目や白目はたるんだ皮膚では

隠されていないのに、左同様に目が

小さく見えます。

この状態が今回のテーマである

『眼瞼下垂症』の典型的な状態です。

写真の患者さんは、先天性、物理的刺激、

(ハード)コンタクトレンズの長期装用

などの誘因もなく、加齢が原因の

『腱膜性(けんまくせい)眼瞼下垂症』

と考えられます。これに皮膚のたるみも

伴っている場合は、言葉は悪いですが

『老人性眼瞼下垂症』とも呼ばれます。

この患者さんの状態は、大まかには

右目が中等度の下垂、左目は軽度の

下垂の状態です。

患者さん自身は、現状が眼瞼下垂症と

呼ばれる状態だとは自覚していない

ことがほとんどです。

術前 前頭開瞼

写真はがんばって目を

開いてもらったところです。

まゆ毛もしっかり引き上げられて

いますが、右目の黒目の露出面積は

あまり変わっていません 。

左目は邪魔なたるみのかぶさりを

減らそうとして右よりも眉毛を引き上げ

ているだけでなく、右目の開きの悪さを

補助するために無意識に左目が大きく開く

反応( Hering 現象)が加わって、右目

よりも大きく開いている可能性があります。

術前 上方視

眼瞼下垂の程度を評価する際の指標の

一つである眼瞼挙筋機能も正確に

計測したところ、左右対称の12mm

でした。

次回、薀蓄減量バージョンへ続く。

眼瞼下垂症手術について 診察編①

2014年11月19日 水曜日

坂クリニックの木下です。

今回から数回に分けて

眼瞼下垂症手術の症例写真を

紹介します。

(写真の掲載をお許しいただき

 ありがとうございました。)

 

①「目元のたるみが気になり始めた」

②「目が小さくなってきた」という悩み

で来院された60代の女性です。

普通に正面を見ていただいているだけ

ですが、おでこや眉間にしわが寄って

なんとなく険しい表情に見えます。

術前 正面

まず、

①の悩みについて診察しました。

元々は “ ひとえまぶた ” だった

とのことで、左目では上まぶたの

たるんだ皮膚がまつ毛にダイレクトに

かぶさってきています。(←ひとえ

まぶたの人の特徴でもあります。)

“ まつ毛の気持ち ” になってみると、

目を開けるたびに乗っかってくる

皮膚が煩わしく、払いのけたい気分

だと思います。

また、かぶさりの程度が強くなるほど

視界の邪魔にもなりはじめます。

 

そこで患者さんは、目を開くたびに

無意識におでこの筋肉(前頭筋)を

動員して左まゆ毛を少し持ち上げ

(=上まぶたのたるみを引き上げ)、

まつ毛にかぶさる皮膚の払いのけを

手伝ってあげながら、必要な視界を

確保することになります。

 

幸い右目は、加齢に伴い “ ふたえの

ライン ” が出現していたために、

まつ毛より上のたるんだ皮膚が

“ ふたえライン ” で一度折り返された

あとに、まつ毛側に垂れ下がって

きており、まつ毛にダイレクト

にかぶさる状態から免れています。

まつ毛にとっては皮膚の払いのけが

いつも必要ではない快適な状態でしょう。

 

しかし、よく見ると左右対称におでこの

シワが寄っていることから、おでこの筋肉

を動員して右のまゆ毛も左まゆ毛と同じ

高さまで引き上げているようです。

続く・・・。

眼瞼下垂症手術について

2014年11月17日 月曜日

坂クリニックの木下です。

昨日はかなり久しぶりに

ボーリングを楽しんできました。

全身で投球したつもりですが、

幸い筋肉痛もなく普通に仕事

できています。

ボーリング

さて、今回から

『眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう』

について数回に分けて紹介したいと

思います。

形成外科や眼科では昔から

治療対象であった『眼瞼下垂症』という

「ややマイナー」な病気は、ある時期を

境に一気に「(やや?)メジャー」な病気に

なり、一般に知られるようになりました。

ある時期とは・・・、

忘れもしない9~10年前(?)、

NHKの「ためしてガッテン」などいくつかの

テレビ番組で、『まぶたの下がりを治すと

肩こりや頭痛なども改善する!』といった

感じでややセンセーショナルにPRされた

まさにその時期です。

その影響で全国の形成外科や眼科に

相談に来る患者さんが急増したという

エピソードもありました。

その後も数年おきにテレビなどで

紹介されたり、形成外科医・眼科医からの

積極的な啓蒙活動により「(やや?)メジャー」

な地位が維持されているように感じます。

 

当時、“まぶたの下がり” ➡ “肩凝りや頭痛

を発症”といった一見関係なさそうな症状の

発生メカニズムや、《松尾法》《信州大式》

呼ばれる手術法は、信州大学形成外科の

松尾清教授が形成外科学会や医学雑誌などで

唱えはじめたものです。

その後、全国の形成外科の施設から

肩凝りや頭痛などが確かに改善するという

学会報告も相次ぐなか、メカニズムついての

異論が一部の医師などからありつつも、

松尾理論や松尾法手術は現在の

眼瞼下垂症治療分野に定着しています。